このセミナーは、2012年3月、東日本大震災一周年を前に行われる「子どもたちに伝えたい防災のこと2012」の前段として、岡山の現状を講演やビデオ上映で学び防災に関する知識や取り組みを考えていただくことを目的に、震災に多くの職員を派遣した全労済岡山県本部が、子育て支援に携わるNPO等に呼びかけて開催されました。参加申込は定員を大きく超えて当日までに400名、最終的に350名余りが参加されています。
震災直後の様子を伝える東京消防庁の映像や通信社の写真をプロジェクターで写し、会場に集まった皆さんと、2011年3月11日の震災の事実にもう一度向き合いました。その後、開会に先立ち、ご来場の皆様と共に震災で犠牲になられた方々に黙祷を捧げました。
案内役はアナウンサーの中村恵美さんと、おしゃべりマウスの”元気くん”です。
中村今このときも日本全国で、あの震災が残した課題に取り組む人たちがいます。なにかできないか、という思いの方もたくさんいらっしゃるでしょう。今日は、そんな想いで集まったみなさんと震災を振り返り、私たちが今なすべきことについて考えてみたいと思います。
中村さて、震災からしばらくたって、日ごろからの防災への備えが生死を分けた事例がいくつか報告されています。
元気ぼく、知ってる。こどもたちが率先して逃げて、たくさんの命が助かったって。逆におとなといっしょにいても失われた命があったって。
つなみてんでんこ、っていうんだよね。中村さん。おじいちゃんおばあちゃんの、そのまたおじいちゃんおばあちゃんの、、、、なにしろずっと前から、 その土地で昔話として、子どもに話して聞かせてきたんだよ。地震が来たら何をおいてもすぐに一人で高いところに逃げろって。でも、岡山県は「晴れの国」って言われているから、大丈夫なんだよね。だから防災の事なんて考えなくてもいいんだよね。
中村本当にそうかな? さっき、ずっと昔の話っていったでしょ。ずっと昔の岡山ではどうだったか、元気くん、知らないでしょ。自分たちの住む場所のこ と、もっと知らなきゃいけないんじゃないかな。それに、どこで地震にあうかわからないから、まさかのときの備えや行動を知っておくことは大切じゃない?
元気そうだね。今日はいろんなことを学んで、防災の事を知ろうと思います。
プログラム1 地震の基礎知識と岡山に与える影響
地震の起こるメカニズムを知ること、そして過去の教訓から想定外を学ぶこと
講師:岡山理科大学 教授 西村敬一先生
西村先生のお話はわかりやすく、70分の講演時間があっという間でした。
地域の話題が出ると皆さん身を乗り出して聞き入り、質問時間にはたくさんの方が手を挙げて下さいました。
地元倉敷のFM局「エフエムくらしき」の防災ラジオの話題も。全国で初めての取り組みだったようです。
プログラム2 子どもに地震・津波をどう伝える?
地域の防災力を高めるために有効な「子ども向け防災プログラム」を、岡山で考えよう
アメリカでは心理療法などに使われているパペットを登場させ、県内で活動しているボランティアの様子や、様々な事例を紹介しました。
キックオフセミナー参加者のコメント
片山由美子さん
私は、東日本大震災をテレビや新聞などの報道で目の当たりにし、津波の恐ろしさや被害の大きさを身をもって知りました。そして、3月11日を契機に、防災・減災に対する認識は大きく変わりました。家族で災害に関する話題を話す機会も多くなり、「地震が起こったらどこに逃げよう」「災害のために何を用意しておこう」などと、具体的なことまで話題にするようになりました。
また、本日の「子どもたちに伝えたい、防災のこと」キックオフ・セミナーに参加して、子どもたちに防災・減災へのメッセージを伝えていくことがどんなに大切なのかを知りました。私は以前、保育士をしていたのですが、そのときは、「災害は怖いんだ」というイメージを子どもたちに伝えようとしていましたが、今日のセミナーに参加して、楽しく学ぶなかで、防災への意識を高めていくことが大切なんだということを実感しました。
「子どもが担い手となる防災・減災」というコンセプトを、これからは活かしていきたいと思います。
松成康昭さん
2011年3月11日の被害日本大震災は、今年小学6年生になる私の息子にとっては大きな出来事でした。なぜなら、息子の誕生日が3月11日だからです。息子の誕生日が、世の中の人にとっては辛い日となってしまったので、本人もショックだったと思います。ただ、誕生日を迎えるたびに震災のことを思い出し、防災・減災への意識を新たにできるという意味では、よかったかもしれません。
私の家でも、東日本大震災をきっかけに、災害のことについては日常的に話すようになりました。特に息子には、地震などの災害があった場合、親がいない時でも親を探さずに、近くにいる大人、たとえば同級生の親御さんなどの指示に従って避難をするように言っています。
これからの防災・減災は、家族や学校だけで行うのではなく、地域コミュニティが一体となって行っていく必要があるのではないかと考えています。そして私もそういう取り組みに今後は参加していきたいと考えています。
渡辺雄一郎さん
私は、比較的自然災害の少ない岡山県に住んでいるので、これまでは災害について考えることはあまりありませんでした。しかし3.11を契機に、災害を身近なこととして考えなければならないと思うようになりました。
特に今回、私の勤める会社の事業所が八戸にあり、それが津波に飲まれてしまい事業が何カ月もストップしてしまったので、東日本大震災を自分のこととしてリアルに受け止める結果となりました。
また2011年8月25日には、日本各地で大きな被害をもたらした台風12号が岡山県を直撃しました。私の家の近くを流れる足守川も決壊寸前にまでなって避難勧告が発令され、私の家族も指定された避難所に避難しました。特に小学5年生と1年生になる私の子どもたちは、こうした体験をすることで災害を自分の身に起こることとして考えるようになりました。
自然災害はいつ起こるかわかりません。ですから、災害が起こった時にはどういう行動をとらなければならないかを常日頃から、考えておく必要があることを痛感しています。また、それを子どもたちにも、わかりやすい形で伝えていきたいと思っています。
子どもたちに伝えたい防災のこと<キックオフセミナー>開催概要
- 体験していないから防災教育ができない、というのは大人の言い訳。岡山の子どもたちの’いのち’を守るために、私たちはここから始めます。
- 震災の発生から半年が過ぎ日常生活に戻ろうとしている今、日本の風土の中で自然災害から身を守るための活動が地域に根付き、子々孫々に伝えられることが、何よりも必要であると感じています。
- 子どもたちが自然の脅威にさらされた時に自らを守るための知恵をわかりやすく伝えること。そのための仕組みを地域の皆さんと一緒につくりあげていくための第一歩が、今回のキックオフ・セミナーです。
- 日時
- 平成23年12月3日(土) 開演10:00(会場9:30~)
- 場所
- ママカリフォーラム レセプションホール
- 主催
- 全労済岡山県本部
- 共催
- NPO法人子ども劇場岡山県センター、NPO法人岡山市子どもセンター、NPO法人子ども劇場笠岡センター、一般社団法人チカク
- 後援
- 岡山県、岡山県教育委員会、岡山市、倉敷市、山陽新聞社、RSK山陽放送、社団法人岡山県労働者福祉協議会
日時:2011年12月03日
会場:ママカリフォーラム レセプションホール
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